+Negative/言葉の代わりに、君に刃を

 憂鬱な日々でも、君が居てくれた。
 残酷な日常の中でも、僕に死ぬなといってくれた。
 ただ話し掛けてくれたりして、凄く凄く嬉しかった。
 でも君は、僕のものになってはくれない。
 僕だけを見続けてはくれない。
 諦めなきゃいけない。
 君が好きだから、君を傷つけたくないから。
 君が僕の気持ちを知ってしまったら、僕から離れていってしまうかもしれないから。
 離れなきゃいけない。
 それでも、僕を見て欲しい。
 僕を愛して。
 僕に色々な世界を見せて。
 言葉には出来ないから。
 僕のものに出来ないから。
 せめて、僕の手で死んで。

 ――ねぇ、僕に気づいてくれた?

 突き出された刃に君の瞳は恐怖に染まる。

 君がいけないんだよ。

 僕にくだらない感情を抱かせちゃったんだから。

 お願いだからそんな目で見ないで。

 お願いだから僕を拒絶しないで。

 僕を抱き締めてよ。

 僕にあの笑顔を向けて。

 恐怖に支配され、逃げ出そうとした君に深々と刃が刺さる。

 ――なん、で・・・。

 刃が刺さる感触が僕の中の理性を呼び戻した。

 僕が悪いんじゃない、君がいけないんだ!

 僕のせいじゃない。

 僕がやったんじゃ……。

 記憶の中の君の笑顔が消えていく。

 なんで、気づいてくれなかったの。

「好き、・・・・・・大好きだよ」

 流した涙に気づかずに。

 僕はただ、冷たくなっていく君の体を抱き締めた。

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