そして物語は続いていく。
 儚くも残酷なバッドエンド。

  +第十八夜+

 何年もの間、幸福なときは続いた。
 俺たちは互いを求め合い、死に対する恐怖を抱き続けていた。
 そして何年か前の今日。あいつは、仕事で死んだ。
 俺が殺したとも言っていい。

 あいつ一人の仕事だった。
 見知らぬ研究所での暗殺。それがあいつの最後の仕事になった。
 研究所はDNAの実験を、モルモットの代わりに人間を使っていたらしい。
 今となってはどうでもいい話だ。
 そして、失敗し、捕まり、薬を投与されて壊れかけているところに、俺が駆けつけた。
 無残な姿だった。
 それでも俺を愛していると言ってくれた。
 そして同時にその口で殺してくれと――。

 目の前にあるのは俺がつくった小さな墓。
「すまない、ライト。俺は器用じゃないんだ」
 微笑みかける墓石に笑い返してくれる芸達者なことはできやしない。
 墓に刺さる2丁の銃。あいつが愛用していたものだ。
 今でもあいつが死んだことなんて信じられない。
 また、ホームに戻れば居そうな気がする。
「今日は遅かったな」と、迎えてくれそうな気がする。
 黙りながら、あいつの好きだった酒を墓に添える。
「俺は本当に不器用だな。お前に怒鳴られるようなことしか思い浮かばない。それでも、見守っていてくれないか」
 止めてくれるのならばそれでも構わないが。
 だから、俺は全てを壊すことに決めた。全てだ。
 戯言でもいい。俺は破壊者になる。
 理不尽なこの世界を、俺が終わらせてやる。
「ライト…」
 風に乗せてあいつの声が聞こえた気がする。
 幻聴、なのだろうが。
『フェイトさん…』
「今からそちらへ向かう。逃げるなりしたほうがいいんじゃないのか」
『情が移ってしまいました。あなたが死ぬのならば、私も死にます。ですが、私には見届ける義務もあります。私も連れて行ってください』
 最後の、仕事が始まる。