あの空から、雫が一粒落ちるたびに、どこかで誰かが泣いているんだと、そう思っていた。

  +雨+


「…今日も、雨だな……」
「あぁ♪そうだな」

 ふと宿の窓から空を見上げた。
 その空は灰色で、心全体を覆っていくような、そんな感じにさせる。
 しかし、それとは対照的に隣の男はいつも以上に嬉しそうだ。

「嬉しいのか」
「ヴェイグは嬉しくないのか?」

 きょとんという効果音が似合いそうな、そんな表情。

「俺は…」
「だってよ、布団とか洗濯物が乾かないのは残念だけどよ、雨は心や大地を潤してくれるんだぜ?」
「……」
「それにさ、俺とお前を繋いでるような感じしないか?フォルス的にもさ」

 それがちょっと嬉しいんだと、そう語るあいつの表情に俺は惹きつけられる。

「そう、だな」

 こいつといると、いつも新しいことを発見させられる。
 面白い、奴だ…。

 雨は大地や人々に恵みを与える
 そして雨は大地と空を繋ぐ
 決して悲しみだけじゃないことを俺は気付かされた

「あ、雨止んだみたいだぜ」
「…虹、か」
「え?どこどこ」

 ただ黙って指で示す。

「お、本当だ。綺麗だな」
「そうだな」

 また、こいつの隣で虹を見ることがあったら、そのときはちゃんと礼を言おう。
 今までのことを、全部含めて…。

+NEXT+