あの雲に手が届きそうで、でも届かなくて。
何度も何度も、もう何も掴めないんじゃないかって。
そんな不安を俺は未だに抱き続けていた。
+空+
一人、森の中にいた。
あいつの傍にいれない時は必ずといっていいほど、緑の多いところであいつの色を探していた。
不意に手を伸ばす。
「また、か…」
知らぬうちに手を伸ばす。
しかし、この手は何もつかめず空を切り、虚しさだけがここに残る。
「お前いつもそれやってるよな」
「…ティトレイか」
木の上から降りてくる戦友。
こういう場所に足を運んでいたのは、あながち無駄というわけでもなさそうだ。
「なにを掴もうとしてるんだ?」
「さあな…。癖、みたいなものだ。子供の頃からの」
「へー、じゃあ俺も」
そう言って空に手を伸ばすあいつからは、俺が今まで探していたものの答えを、
簡単に見つけてくれそうな気がした。
「結局、なにも掴めないんだがな……」
「そんなことはないと思うぜ」
自信満々に言うあいつの言葉には、不思議と光が満ち溢れているように思える、
「目に見えるものが全てじゃないんだ、きっと」
「なら、お前はなにを掴んだんだ」
「俺か?んーとな…、太陽の光に包まれた『希望』かな」
こいつは、俺の求めているものをいとも簡単に見つけてしまう。
「お前らしい」
もう、虚しさは残らない。
「戻るぞ」
その意味を、答えをお前は見つけてくれたから。
願わくば、一秒でも長く、お前の隣に……。
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