+Negative/人殺しに飽きたら、もう一度だけ君の笑顔を思い出そう

狂った狂気に身を任せ、何もかも捨ててあの街から出たあの日。
もう、再び何かを手に入れることなんて、ないと思ってたのに。

「どこ、行くんだよ」
「君のいないトコ」
「どうして」
「君に居られると迷惑なんだ。遊びが続けられない」

真っ赤に染まる廃墟。
そしてあの街からずっと僕を追いかけてきた、馬鹿な君。
その2つが同じ場所にあることの違和感。
君を此処に置くわけにはいかない。
僕の狂気が薄れていく。

「もう、止めろよ。…こんなこと」
「止められない。それに、今止めたところで、僕の犯した罪は消えない」
「これ以上罪を重くするなよ!…嫌だよ」

人のために泣ける優しさ。
でも、僕にとってそれは、優しさでもなんでもない。

「嫌なら、僕に近づかなければいい。それに、ここまでして、黙っていられるほど人間は馬鹿じゃない」
「…でも」
「でもじゃない!」

不意に現れた男をナイフで刺し殺す。
君を殺したくないんだ。目障りだけど。
でも、君はとても悲しそうな目になる。
絶望の色。こんなところまでついて来なければ、こんな目には遭わなかったのに。

「君が邪魔なんだ。早く帰れ」
「…じゃあ、殺せよ。あいつらみたいに、」

殺シテ、とそう呟いた。
その瞬間、狂気とは違う何かが弾けた。

「君にそこまでしてやる義理なんてない!馬鹿なことを思わなくていい。君は笑顔で陽の光が届くところに居れば、それでいいんだよ」

思いっきり殴ってた。
君に死んで欲しくないとそう思ってしまった。

「本当は、こんな姿君に見られたくなかったんだ。だから、早く帰って」

そして生きて。しつこいくらいに、生き延びて。

「待っ…」

人殺しの毎日に、光なんていうものはいらない。
血を浴びる毎日に、穏やかな風なんていらない。
吹き荒れる風に、強く打ち付ける雨。
血に染まったこの手。
どう足掻いても、消えることのない罪。
もう、君の顔は見られない。
もう、君の声も聞けない。
記憶に美化され消えていけ。
君は、今ごろどうしてるのかな…。

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